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2010年03月17日

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2009年度後期ゼミ_まとめ1

後期ゼミについての簡単な報告をさせていただきます。我々は後期のゼミで、次の論文を読んでいました。

Cook, Nicholas. 1998. Disney's Dream: The Rite of Spring Sequence from 'Fantasia'. In Analysing Musical Multimedia, ed. Nicholas Cook, 174-214. Oxford: Oxford University Press.

タイトルにも書いてありますが、この論文は、ディズニー制作のアニメーション映画『ファンタジア』(1940)における、映像と音楽との相互関係を分析するという内容になっています。『ファンタジア』は、既存のクラシック音楽作品(を編集したもの)に映像を付けたアニメ作品です。全体はいくつかのパートに分かれており、そのうちの一つにストラヴィンスキーの《春の祭典》が用いられています。

ストラヴィンスキー自身は、この作品を酷評していたようです。権利関係で揉めていたからか、本当に出来が気にくわなかったのか、あるいは両方かもしれません。論文の冒頭で紹介されているインタビューで、彼は次のように述べています。

私は作品の映像面に関しては何も言うつもりはありません。どうにもならない愚行について批判したくはないからです。しかし、次のことに関してはくり返し言いますけれども、このフィルムの音楽的な見地は、危険な誤解を推し進めています。(p.174、孫引用)


また、他のインタビューではカラヤンの演奏を批判して「ディズニーの死にかけた恐竜たちよりも退屈だ (duller than Disney's dying dinosaurs)」(p.176、孫引用)と言ったりもしていたようです。

こういったエピソードが紹介されたあと、映像と音楽の詳細な分析が始まります。両者の逐語的な補完関係(流星がクラリネットのモティーフと呼応しているとか、ロング・ショットでの火山の噴火と、弦楽器のピチカートが同期させられているとか)に着目しつつ、さらに構造的な関連性(楽曲上の「推移部分」と、映像上の「推移場面」とが一致している等)の指摘も行われています。

論文の途中で、ヴァン・デン・トゥーン van den Toornによる《春の祭典》の解釈について触れている部分も興味深いところです。ヴァン・デン・トゥーンによると、《春の祭典》のリズム的な要素は二通りの解釈が可能であり、「リズム上の(表層的な)不規則性」と「拍節上の規則性」との両方に依存していることが分かります。クックはこの両義性に関しても『ファンタジア』の解釈へと取り入れ、論を進めていきます。(p.187~)

音楽と映像との関わりは、非常に面白い研究テーマです。今後も要注目だと思われます。

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